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    <title>Kelly is</title>
    <link>http://kellyis.net/</link>
    <description>KELLYis. design &amp; direction Tokyo JAPAN</description>
    <language>ja</language>
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    <category>Weblog</category>
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      <title>Kelly is</title>
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    <item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 22-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=463</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20111004-waxing_moon03.jpg&amp;width=600&amp;height=449&amp;imagetext=20111004-waxing_moon03.jpg" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=600,height=449');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20111004-waxing_moon03.jpg">20111004-waxing_moon03.jpg</a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<br><br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
<br />
<br />
__________________<br />
<br><br />
verse 22<br />
<br />
　散歩をしているらしきひとの気配で目が覚めた。少し寝坊気味の朝。日は高くなりはじめ、もう暑い。テントを出ると、近所のひとらしきオッチャンが犬を連れて歩いていた。<br />
「おはようざーす」<br />
「おはよう。おヘンロさんか。昨夜はここで眠ったんか？」<br />
　これでなにか冷たいものでもと、200円をオセッタイしてくれる。ありがたいぜ。テントを片付けていると、今度はふたり組の散歩オバチャンが「はい、オセッタイ」と、お菓子と冷えたお茶をくれる。今日も朝からカンペキに快調だ。空もよく晴れている。<br />
<br />
　5kmほど先にある85番を打ってから、国道11号へ再び出る手前でまたまたうどんを喰し、バッテリーフルの軽快な足取りで86番、87番へと向かう。9月も半ばともなると、ピカピカの白装束ユニフォームを着たバスツアーヘンロの数が増え、寺はどこも朝から賑わいを見せていた。旅行業界では真夏はヘンロのオフシーズンとなるようで寺が経営する宿である宿坊も8月中はどこも休業していたが、どうやらシーズン再開の模様である。寺というのは日常空間と地続きでありながら意図的に時空構造を周囲と隔絶させた聖域であるわけだが、これだけひとが多いと一体どちらが非日常空間なのかわからなくなってくる。<br />
<br />
　そんなわけで、とうとうここまでやってきたかなんて感慨もないまま、オレは87番長尾寺を発った。長尾寺から88番大窪寺までは約12㎞で、ほぼ一本道。歩きやすいけれど車が多くて遠回りにもなる県道からそれて沢沿いに山道を歩き、標高780ｍほどの女体山山頂をまたいで南側に下りていくと、そこはもう大窪寺である。境内ヘは寺の裏側から入るような格好だ。<br />
<br />
　大窪寺にはヘンラーの先人たちが旅の間に使用したおびただしい数の金剛杖が奉納されていた。なかなか壮観である。オレは金剛杖の代わりにそのへんに落ちている棒切れ使っていたので、寺ではなく山の中にすでに奉納済みだ。<br />
<br />
　それにしてもケチガンの瞬間とは、なんとあっさりしたものだろう。本堂の前あたりで大団円を迎えて感動に打ち震えるなんてテンションにはまったくならず、意外にも閑散とした境内をオレはひとりウロついていた。せっかくなので少しは感動しておこうと歩きまわってみたのだ。しかし特別なものは別段なにも込み上げてこず、それどころかもう午後をだいぶまわっていることもあって、早くここを発たないと「八幡」へは今日中に着けない！　という意識のほうが強まっている始末である。<br />
<br />
　別にそもそも急ぐ旅ではないのでゆっくりしていけばよいのだが、今日の遅くとも夜までには「八幡」に行っておかないと、ヘンロ初日オセッタイへのお礼としての宿泊ができなくなる。それにはまだあと20km歩かなくてはならない。時間にして4時間半ほどの距離だ。最早悩んでいるひまはない。すぐに大窪寺を発ち、一路、うどん屋「八幡」を目指すことにした。<br />
<br />
　山の中を走る県道をひたすら南下。地図で見る限りこれ以外に道はなく、トラックやダンプもよくとおる。途中、農家のオバチャンたちがオセッタイしてくれたジュースやバナナでエネルギーをチャージしながら意気揚々と歩いたが、残り10km地点あたりから脚の重みが急激に増してきた。88番まで打ち終えた安心感からだろうか、これまでの疲れが一気に噴き出しているようだ。靴の内側にも違和感がある。例の左足の小指横にできていたマメがまた復活し、巨大化しているらしい。もうあきらめて、どこかそのへんで野宿しちまおうか。でも「八幡」のオッチャンも驚かせたいしなぁ。<br />
<br />
　何度ザックを下ろそうと思ったかわからないが、ひとたび休憩しようものなら、もうそのまま身体が動かなくなりそうだった。よし。どっちにしても今日で最後だ。このまま無理してでも歩きとおそう。「八幡」で飯も喰いたいから、到着があまり遅い時間にならないよう、休憩もなるべく入れないようにしよう。マメは宿についてからツブせばいい。疲れは熱い湯につかって癒せばいい。オレにとっては、むしろこっちのほうがケチガンだ。<br />
<br />
　さらに1時間ほど歩くと、徳島自動車道の高架が見えてきた。これさえ超えれば、「八幡」のあるあたりまであと2～3㎞のはずだ。もう19時近いだろうか。あたりはだいぶ暗い。店、まだやってっかな。急ごう。左足のマメも相当大きくなっているようだ。靴の中で左小指を丸めて、マメがなるべく靴の内側にあたらないようにかばいながら歩く。……疲れたぜ。そろそろ着いてもよさそうなものだが、まだだろうか。<br />
<br />
　そのときである。ふと遠くに目をやると、なにやら見覚えのある物体が。あの懐かしき看板が見えるではないか。「八幡」。たしかに、そう書いてある。<br />
「おおお！」<br />
　しかもあの点灯具合は、いかにもまだ営業中だ。こうなっては最早マメも疲労も関係ない。オレは最大限の急ぎ足で歩き、勢いよく店の扉をあけた。<br />
「いらっしゃいませえ」<br />
　声をかけてきたのは、あのときも店にいた若い店員だった。<br />
<br />
「こんばんは！　おぼえてます？」　<br />
<br />
　<br />
]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=463</comments>
 <pubDate>Tue, 4 Oct 2011 12:15:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 21-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=462</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110922-crescent-moon_0901m.jpg&amp;width=891&amp;height=993&amp;imagetext=null" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=891,height=993');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110922-crescent-moon_0901m.jpg">null</a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<br><br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
<br />
<br />
__________________<br />
<br><br />
verse 21<br />
<br />
　翌朝早々、さして面白味もない80番国分寺をさっくりと打ち終え、小高い山の中にある次の81番を目指していると、途中、山道から舗装路に出たところでうどん屋を発見。昼飯にはまだ早すぎるが、迷わず立ち寄ることにした。もちろん、ぶっかけ、冷。く～ぅっ、たまらん喉越しだぜ。<br />
<br />
　うどんを1分47秒ほどで喰い終えてから、オレはテーブルの上に地図を広げた。残す8寺をまわったら、四国ヘンロの88札所をとりあえず、すべてひととおりまわり終えることになる。しかし地図上で計測してみると、今日中に88番まで一気に行くには、ここからさらに60㎞ほど歩かねばならない。できないこともないが、さすがに無理がある。それに88番まで終えたらそのまま徳島の1番霊山寺まで足を延ばして足跡の輪を閉じることで旅を締めるつもりでいるので、その移動も加えると距離は都合110㎞以上ということになる。3日コースだな。<br />
<br />
　よし、徳島入りには明日いっぱい使うことにしよう。今日のところは高松の港近くにある屋島寺まで移動し、そこいらで適当に野宿地を探す。都市部で安心して野宿できる場所を探すのは難しいが、ま、なんとかなるだろう。1番へは明後日の午後イチぐらいに到着予定だ。<br />
<br />
　ケチガン。結願と書いて、そう読むらしい。ヘンロ雑学王のホリがいっていた。四国遍路の霊場に認定されているオフィシャルの寺88か所すべて打ち終えることを、ケチガンというのだそうだ。文字どおり願いが結ばれるというわけだ。もっともこのオレが「願」かけなどしているはずもなく、ヘンラー的にはケチガンという概念自体が存在しないともいえるが、「ケチガン」という聞き馴れない島ことばをほうふつさせる語感にはなんとも秘教的な響きが含まれていて、魅力的だ。なるほど明日で「ケチガン」か。<br />
<br />
　香川県内にある80番台の各札所間は6～7㎞、長くても12～13㎞程度しか離れていないので、ケチガンに向けて体力をそれほど消費することなく移動できる。というわけで軽い足取りで83番まで終えたところで再び美味そうなうどん屋に立ち寄ってから、傾きはじめた日を浴びつつ高松の繁華街へと入った。街は若者や退屈そうな高校生、買い物のオバチャンたちであふれている。四国とはいえ、このような都市部に来るとヘンラーの存在は完全に浮いてしまい、かえって心地よい。何でもアリの東京に戻っても、こんな具合に浮いていたいと思う。<br />
<br />
　繁華街を抜けて国道11号に出、私鉄電車屋島駅の脇を進むと、目指す84番屋島寺はもうすぐそこだ。血に飢えた蚊の襲撃をかわしながら、山門まで1.5㎞ほど続く急な坂道を登っていく。日は沈みかけている。誰もいない薄暗い境内。この日の営業をすでに終えた寺で参拝を手早く済ますと、真っ暗になる前に野宿ポイント探しに移った。<br />
<br />
　思ったとおり屋島寺がある一帯はちょっとした公園になっているようで、その気になればどこにでもテントを広げられそうだ。境内を出て少し歩くと、港や周辺の街並みが一望にできる東屋が見えてきた。そこでザックを下すことにする。<br />
<br />
　考えてみたら、今夜は最後の野宿である。というのも明日は宿に宿泊する計画だからだ。<br />
<br />
　先に書いたとおり、明日、88番大窪寺まで打ってケチガン後はそのまま1番札所を目指す予定だ。だがその場合、屋島寺からの移動距離は計約80㎞。1番に着くころには真夜中だ。そこで明日の晩はヘンロ開始初日に世話になった徳島のうどん屋「八幡」に一泊させてもらおうと考えたわけである。あのときみたいに店のクルマの中で寝かせてもらおうとも思ったが、オセッタイされっぱなしってのもどうか。「八幡」はうどん屋のほかに宿も併設している。今度はちゃんと金を払って泊まろう。オレなりのお礼参りだ。<br />
<br />
　実はこのアイデア、「八幡」にオセッタイしてもらったヘンロ初日から、なんとはなしに温めていたものだった。全部まわり終えたら、またここへ寄ってうどんでも喰いながら、その報告と礼をしようと。オッチャン、オレをおぼえているだろうか。もしおぼえていてくれたなら、ちょっとしたサプライズになる。<br />
<br />
　前日に続いて今日も37km程度しか歩いていないので身体は疲れていないが、明日は40㎞のK点超えどころか50km近く歩くことになりそうだ。しっかり早めに眠っておこう。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿<br />
<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=463" Target="_blank">NEXT・・・・・</A><br />
　]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=462</comments>
 <pubDate>Fri, 23 Sep 2011 00:00:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 20-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=460</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110905-image_moon.jpg&amp;width=2653&amp;height=1935&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=2653,height=1935');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110905-image_moon.jpg"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<br><br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
<br />
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__________________<br />
<br><br />
verse 20<br />
<br />
　グレゴリオ暦のカレンダーは9月半ばになっていた。ここまで来たら、あと3日ほどで徳島の1番札所に凱旋することになりそうだ。38夜前、東京を発った新月の晩にはじまったエピソードはいま、ひとつの区切りを迎えようとしていた。<br />
<br />
　そういえばこのところヘンラーの姿を一時期ほど多くは見ていない。夏の休暇を利用して旅に出ていたヤツらの多くはもう地元に帰り、何喰わぬ顔をして社会という囲いの向こうで「日常」を取り戻しているにちがいない。<br />
<br />
　広島や岡山あたりから週末のたびに四国へやってきては、少しずつ歩きヘンロを続けているというようなリーマンは実際、多かった。ホリなら「“区切り打ち”ですね」と専門用語で呼ぶところだろう。金曜の夜から日曜の夜までの短い間、重いスーツを脱いで路上を転がりにくるなんて、毎週末、最高のおしゃれをして踊りに繰り出す『サタデーナイトフィーバー』のトニーみたいで、なんだかファンキーだ。知ってるぜ。お前らウィークエンドヘンラーたちも路上で発見しちまったんだろ。てめーが地球の上で生きてるってリアリティを。<br />
<br />
　連中が普段、組織の中で生きているのだとしたら、彼らの日常は少なくとも真実ではない。組織とは幻想に過ぎないからだ。ところがあらゆる組織は幻想でありながら、いかなるときもつねに個より優先される。組織そのものを存続させるために。そして哀れなことに、いったん組織に所属した個は組織への依存なしでは生きられないよう去勢され、がんじがらめに調教されるため、気づかないうちにみずからの意思で個を放棄してしまうことになる。だがいうまでもなく、それは真実の放棄にほかならない。個こそが唯一の真実なのだから。だとすれば個を再確認させてくれる路上という宇宙は、組織の側にくみしないものどもにとってのサンクチュアリだ。だからこそ真実は路上にある。<br />
<br />
　香川県は札所間の距離が短いうえ札所の多くが市街地に立地しているため、移動が楽だ。こんな具合に頭の中で小理屈をこねまわしている間にも、善通寺、丸亀、坂出を抜け、79番までオレは打ち終えていた。どうやらヘンロの旅は、順当に1番から反時計まわりで歩いた場合、ラストは楽チンなソフトランディングで終わらせてくれるようだ。くわえて周囲には讃岐うどん屋がいたるところにあり、うどん好きのアメリカ人、ベンジャミンあたりにはまさにパラダイスだったことだろう。「喰う」のが大好きだったデブのホリも、ここまで来てれば思い残すこともなかったろうに。なるほど讃岐を「涅槃」とはよくいったものだ。オレも当然、朝昼晩すべてうどん。「涅槃」はうどん三昧なのだった。<br />
<br />
　今夜の野宿地は明朝一番に訪れる80番国分寺に隣接する公園にした。ここはかつての旧国分寺の跡地ということらしいが、着いたころには陽が落ちてあたりはだいぶ暗くなっており、よくわからない。もっとも明るかったとしても、そんなものにはまったく興味はないのだが。<br />
<br />
　公園にはひとりの先客、ずんぐりしたオッチャンがテントを広げていた。バイクで旅しているのだろう、テントの横に大型スクーターが停めてある。軽く挨拶だけして、暗がりの中でオレも寝床をつくることにする。テントを設営し終えると、いつものごとく公衆トイレの水道で今日一日着た下着とＴシャツを洗い、そのへんに生えている木に洗濯ひもを渡して干した。<br />
<br />
　夕方にはうどんを喰っているので食事は必要ないのだが、すぐ近くに小さな商店があったので、街灯に吸い寄せられる蛾よろしく誘われるように入ってみた。疲れた身体がカロリーを欲しているのか、はたまたベンジャミンの影響か、気づくとオレはアンパンとファンタパイナップルを手に取っていた。両手にダブルスイーツ。完全にデブ嗜好じゃないか。冷静に考えると相当に気持ち悪いセレクトだ。金を払って店を出るとテントへは向かわず、すぐ目の前にある国分寺の山門に腰を下ろしてさっそくパクつきはじめる。ジャンクフードは聖域で喰うのが一番うまい。振り子の原理である。祭りのとき神社の境内に夜店が並ぶのと同じ理屈だ。<br />
<br />
　がっつり喰ったら、明日朝一番に訪れるこの寺に向かってゲップで挨拶。今日は36㎞ほどしか歩いていないのでそれほど疲れてもいないのだが、満腹感によってもたらされた激しい眠気にあっさり白旗を上げ、残り少ない四国の夜を満喫する間もなくオレは眠りについた。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿<br />
<br />
<br />
<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=462" Target="_blank">NEXT・・・・・</A><br />
　]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=460</comments>
 <pubDate>Mon, 5 Sep 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 19-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=458</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110822-waxing_moon03.gif&amp;width=379&amp;height=380&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=379,height=380');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110822-waxing_moon03.gif"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<br><br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
<br />
<br />
__________________<br />
<br><br />
verse 19<br />
<br />
　雲辺寺の北側の麓を発ち、5kmほど先にある67番を打ち終えた時分から空模様は落ち着きを見せはじめた。カッパを脱いで軽くなった足取りで、67番から10km圏内にある68、69、70番まで一気にまわる。このあたりにも瀬戸内の海沿いに道の駅があるはずなのでテントを広げられるのだが、ベンジャミンの翌日の待ち合わせのことも考慮し、次に行く71番すぐ手前にある温泉施設併設の道の駅までさらに足を延ばすことになった。<br />
<br />
　70番からさらに10km。あたりは真っ暗に暮れている。おまけに小さな路地の多い一角に入り込んでしまい、目指す道の駅はすぐ近くのはずなのに、なかなか見つからない。やがて蛍光灯の明かりをこうこうと灯した小さなうどん屋があらわれたので、客のいない店内でナイターを見ながらひとりビールを飲んでいた店主と思われるオッチャンに道を尋ねてみた。ぶっきらぼうなコワモテ親父がぬぅっと顔を出す。<br />
<br />
「だったらウチの横の細い道を突っ切ると広めの道路に出るから、それを左に道なりに行くと近道。温泉の看板が見えてくるから。ちょっと兄ちゃんたち、待ってな」<br />
<br />
　オッチャンは奥の冷蔵庫から自分が飲んでいたのと同じスーパードライの350ml缶を2本取り出し、「飲みな」と渡してくれた。考えてみれば、アルコールのオセッタイは初めてだ。ちなみにベンジャミンは高知の漁師町で酒オセッタイを受けていた。このときはゲロまみれになるほどダイナミックに飲まされ、翌日は二日酔いで使い物にならなかったそうである。<br />
<br />
　道の駅は遠くまで町を見渡せる高台にあった。駐車場は入浴客の車でいっぱいだ。温泉施設はかなり大きかった。鉛のような身体を引きずって、それでもなんだかんだで今日も40km以上歩いている。こりゃもうゆっくり湯につかるしかないでしょ！　意気揚々と入浴券売り場に行ってみたまではよかったのだが、「大人1500円」とある。あっさりあきらめ、外にある無料の足湯で我慢することにした。<br />
<br />
「ぷはぁ～～、やっぱビールは足湯のあとに限るな」<br />
　まぁまぁな夜景を見下ろし、オレたちはスーパードライで乾杯した。<br />
「キンぢはヘンロが終わったら、次のアドヴェンチャーは決まってる？」<br />
「とりあえず和歌山だな。マウントコーヤに行くよ。四国全部打ち終えたら、“お礼参り”つって徳島から海を渡った向こうにある高野山って山の上にある寺に行くのが、ヘンロ後のフォーマルな手順になっているらしいんだ」<br />
「それホリサン情報？」<br />
「ホリもそうだけど、いろんなやつから聞いた。距離は短いから、和歌山港から2～3日で歩けるらしいぜ。その寺に弘法大師が眠ってんだってよ。いまもミイラがあるって話だ。たぶん見れないけど。ベンジャミンは？」<br />
「もうしばらく日本で過ごしてからアルゼンチンに行こうと思ってるって話はしたよね？　で、次にトライすることはまだ決まってない。そのうちいつかアメリカのアパラチア山脈沿いを歩く3500kmのロングトレイルは挑戦してみたいけどね」<br />
「アメリカ版ヘンロだね。すっげぇ面白そう。オレも日本に飽きたら次はそっちでヘンラーだな。まだまだ飽きそうにないけどね。ベンジャミンもアルゼンチンで書店のオヤジやりながらヘンラーデイズを送るしかないね。つーかヘンラーでいる限り、どこでどんな人生送ろうと全部ヘンロ。なぜならそれがヘンラーだから」<br />
「山にいようとオフィスにいようと」<br />
「そして雨が降ろうと槍が降ろうと核ミサイルが降ろうと。オレらしょせん人間ごっこしてるだけなんだから、人間であることを楽しんどかねえとな。それがヘンラースピリット。あぁ～、なんかオレいま、すっげぇ名言はいてる気がする。いいかベンジャミン、日本人としていっておくが、これこそ真のブッダの教えだ!!」<br />
「おお！　オレもそう思うよ!!」<br />
　ベンジャミンが本気でそう思っていたかは定かでない。<br />
<br />
　スーパードライを飲み干したオレたちはアイスキャンディの自販機の前に立っていた。ベンジャミンがなにやらマズそうなアイスを購入している。オレも真似をして雪見だいふくを買ってみた。……おお、この甘さは疲れた身体に効きまくる。解脱しそうだ。<br />
<br />
　いつしか温泉施設の明かりは消え、駐車場はがらんどうになっていた。施設敷地内の建物と建物の間の通路に勝手につくったオレたちの寝床の脇を警備員が巡回して通り過ぎていく。中にはヘンロのフリをしてこういった場所に潜み、窃盗や強盗を働こうという輩もいるだろうが、少なくともオレたちは不審者に見えなかったらしい。薄汚れたデカいザックやテントを見ればわかるか。ベンジャミンはケータイメールを打っている。明日の打ち合わせだろう。雪見だいふくの甘い刺激に脳を溶かされたまま、歯もみがかずにオレはテントにもぐりこんだ。<br />
<br />
　翌日、最初に訪ねた71番は道の駅の目と鼻の先にあった。寺には興味がないのでたいていはチャントだけ済ますとすぐに発ってしまうのだが、ここは断崖に囲まれ、岩窟を利用した堂があったりと珍しい構造をしており、なかなかおもしろい。<br />
「ベンジャミン、最後だからちょっと観光していこうぜ」<br />
「いいね。この寺はすごく神秘的な感じがするよ」<br />
　磨崖仏など見どころごとに立てられた表示板の日本語解説を訳して教えてやった。もちろんオレのニセ英語で言語化できる部分だけを抽出してである。くわえてそもそもオレ自身、弘法大師とやらがここでなにをどうしようがまるで興味がなかったので、説明はさらにテキトーになってしまう。たぶんベンジャミンにはちゃんと伝わってないだろう。<br />
「ま、細かいことはあとで本でも読んで調べてよ。興味があったらの話だけど」<br />
　実質的にはそれは観光というより、残された時間を名残惜しむための時間つぶしに近かった。<br />
<br />
　72番と73番はそこから3km程度しか離れていないので、のんびり歩いてもあっというまに着いてしまう。両方を打ち終えたところでベンジャミンのケータイが鳴った。<br />
「ここで待ち合わせることになったよ」<br />
「OK、じゃあ気をつけてな。トモちゃんによろしく。ホリの伝説もちゃんと語り継いどいて」<br />
「ホリサンとキンぢの話は彼女にもうしてあるよ」<br />
「ほんじゃま、またどっか地球の上で、この星が丸いうちに。楽しかったよ」<br />
<br />
　再びオレはひとりにもどった。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿<br />
<br />
<br />
<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=460" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=458</comments>
 <pubDate>Mon, 22 Aug 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>an introduction to The Text of Modern HENRER</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=448</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110806-waxing_moon04.jpg&amp;width=393&amp;height=542&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=393,height=542');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110806-waxing_moon04.jpg"></a></a><br />
<br><br />
<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=270&catid=11" Target="_blank">The Text of Modern HENRER</A><br><br />
]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=448</comments>
 <pubDate>Sat, 6 Aug 2011 04:44:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 18-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=447</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110806-waxing_moon02.gif&amp;width=379&amp;height=380&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=379,height=380');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110806-waxing_moon02.gif"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
<br />
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__________________<br />
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verse 18<br />
<br />
　ヘンロ小屋兼「大宗谷」バス停待合所を早朝に発ったのはいいが、1週間のあいだにユースホステル2泊、温泉旅館1泊と、野宿とは真逆の過度に快適な夜をいくつも過ごしてしまったためか、身体が幾分なまったようだ。<br />
<br />
　脚が重い。足裏が痛い。<br />
<br />
　累積した疲労が奴隷をつなぐ足かせのように足首にぐるぐる巻きついている感じがする。ジメジメと身体中にまとわりつくような小ぬか雨が降っているせいもあるかもしれない。<br />
<br />
　ここから66番まで約6kmの道のりは、ほぼひたすら登り。山道はノーストレスで歩けるうえ長距離ヒルクライムは嫌いではないため普段ならなんてことないはずだが、この日ばかりは途中で3度も休憩を入れながらの行程になった。といってもベンジャミンは元気そうである。<br />
<br />
「コーヒーブレイクにしよう」<br />
<br />
　ザックからガスストーブを出して水を温めながら、ベンジャミンがネスカフェの瓶を差しだしてくれた。最初の休憩地でのことだ。マグカップにインスタントコーヒーの粉をどばどば入れて、コッヘルの湯を注ぐ。<br />
<br />
「はぁ～～ッ、ンめぇ～～。ありがとう、ベンジャミン。ヤベーよ、これウマくて」<br />
<br />
　ネスカフェを美味いと感じてしまった事実自体、相当ヤバめな領域なのだが、実際、このとき飲んだインスタントコーヒーはとてつもなく美味い飲料に思えた。それにしても、さすがはベンジャミン、いつでもどこでも嗜好品は欠かさない。<br />
<br />
　そのままうとうとしつつ30分ほど休むと、だいぶバッテリー容量が回復している気がしてきた。そこでようやくまた歩きはじめるわけだが、アイドリング状態のような中途半端な睡眠が災いしたか、燃費が非常に落ちており、エンジンの吹けもよろしくない。結局、山頂にある66番雲辺寺にたどりつくまで、あと2度ものブレイクが必要だった。<br />
<br />
　雲辺寺は標高900ｍほどの場所にあり、ヘンロの札所の中では最も高地にあたるらしい。山道は途中ガスで覆われていたが、それを抜けると途端に天頂の雲間からまぶしいほどの陽の光が差し込んだ。なるほど「雲辺寺」という名称は伊達じゃない。<br />
<br />
　ヘンロでは四国4県にそれぞれ仏道修行をイメージさせるソレっぽいキャッチコピーがつけられており、現代人にもソレっぽい気分を味あわせてくれるのだが、これがよく練られている。いわく徳島が「発心の道場」、高知が「修行の道場」、愛媛が「菩提の道場」、そしてここ香川が「涅槃の道場」。わかりやすく超訳すれば起・承・転・結ってことなんだろうが、物語の“結び”となる「涅槃」編が、88札所中最も標高が高い、つまり最も宇宙側に突き出たスポットからはじまるなんて、実にシャレている。涅槃というのは、いってみればサトリの境地ってことだろ？　その入り口を最も宇宙に近い場所に設定して88ヶ寺を構成するなんて、ヘンロの伝統がどんな形で誕生したのかはわからないが、これを最初にプロデュースしたやつの才能にはまったく脱帽だ。<br />
<br />
　それにしても上に着くのと同時に、雲の切れ間から陽の光。すばらしい演出だ。天気操ってるな～、あいかわらず、オレ。ほとんどモーゼだな。<br />
<br />
　境内で湧水をゴクゴク飲んで乾いたノドを潤してから、本堂と大師堂へのチャントを自動機械のごとく早々に済ますと、寺の裏手にあるロープウェイ乗り場の脇から山道を一気に下っていく。本日最初のチェックポイントを終えた安心からか、だいぶ身体が軽くなっているようだ。それでもオレの歩行ペースはベンジャミンから遅れがちだった。そしてこのころからオレは靴の中で足先に違和感をおぼえるようになっていた。数日前に左足の小指にできていたマメが育ってきている感じがする。針でブチッとツブしといたのになぁ。<br />
<br />
　これまで休憩時には必ず靴も靴下も脱いで蒸れた足を乾燥させていたのでマメをしっかり防御できていたが、さすがにここまでくると足全体がむくんでひとまわり大きくなっているらしく、それだけでは防ぎきれないみたいだ。とくに左足のサイズのほうがオレは大きいので、通常時でジャストサイズの靴では左の指先がインナーにあたって歩くたびにこすれてしまう。その結果、水ぶくれが出来上がる。<br />
<br />
　とりあえず山を下りきったところで休憩し、靴を脱いでみると案の定だった。ベンジャミンが覗きこみ、心配そうな顔でいう。<br />
「マメ？」<br />
「マメ。足裏じゃないから歩きには支障ないけど、ちょっと休むわ。先行ってていいよ」<br />
「オレも休んでいくよ。ちょっと疲れた。長い下りは膝に来る」<br />
<br />
　足裏にマメができてしまうと完全に歩行困難になる。ホリを含めて多くのヘンラーがそうだった。そのまま無理し続けると“C3PO歩き”を余儀なくされる。さいわいオレのマメはまだそれほど育っておらず、しかも小指の外側。歩くのに大きな影響はない。とりあえず水筒の水で簡単に足先を洗い、先端をライターであぶった裁縫針でつついてマメをつぶしておく。あとは絆創膏を貼って終り。この程度なら気にしなけりゃ、気にならない。<br />
<br />
「またひと雨来そうだな、ベンジャミン。晴れたのは上だけだったのか。カッパ出しといたほうがいいよ」<br />
　ザックの口を開いてオレたちは雨具の用意をしはじめた。<br />
「実はキンぢ、一緒に歩くのは今日が最後になりそうだよ」<br />
　アスファルトをポツリ、ポツリと雨が濡らしはじめた。ザックごとポンチョをかぶり、巨大なてるてる坊主のようになったベンジャミンの顔は、ちょっとだけ寂しげだ。<br />
<br />
　彼の旅はそもそも奥さんと一緒にはじめたものだったが、やはりマメと疲労により徳島での最初の数日で彼女は断念、すでに東京に引き返していた。<br />
「彼女がこっちに来ることになったんだ」<br />
「そうかぁ、またトモちゃんと合流すんだ。いんじゃね？」<br />
<br />
　気軽にトモちゃんなどと呼んではいるが、オレは本人とは当然会っていない。彼女とは明日の午前中に72～75番札所あたりで落ちあうことになっているという。どうやら88番を終えるまでの残り数日間、ベンジャミンは夜を宿で過ごすことになるようだ。<br />
「てことはベンジャミンにとっては今夜が最後の野宿じゃん。悔いが残らないよう楽しまないとな」<br />
<br />
　ようやくエンジンがまわりはじめた。<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=458" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=447</comments>
 <pubDate>Sat, 6 Aug 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 17-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=444</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110611-apollo11return_nasa.jpeg&amp;width=900&amp;height=694&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=900,height=694');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110611-apollo11return_nasa.jpeg"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
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真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
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__________________<br />
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verse 17<br />
<br />
　西条市から新居浜市へ抜けてまもなく、65番札所へ向かう国道11号を南に少しはずれたところにその公園はあった。まずは飯を確保するために、すぐ手前のスーパーに立ち寄る。面倒なので最近自炊はあまりしておらず、買ったのは鮭とおかか、昆布のオニギリを1個ずつ、それと朝飯用のあんぱんとジャムパン。このところほぼ定番化しているラインナップだ。コンビニやスーパーのおにぎりなど、どれを喰ってもどうせマズイし、そもそも単に低脂肪高カロリーのエネルギー源として米を摂取しておきたいだけなので、具は苦手な梅以外ならなんでもよい。金もかけたくないので単価105円のものが中心。ただし昆布おにぎりだけはミネラル分の補給になるかと思い、必ず買うことにしている。たいていは105円だし。<br />
　<br />
　そんなわけでオレの買い物はあっという間に終わってしまうのだが、ベンジャミンは時間がかかる。なにせ白米とおかずをちゃんと別々に買い、例によってデザートまでしっかり用意するのだから。旅先の野宿地でここまでフルコースの飯を喰うやつはさすがに珍しい。それだけでも十分型破りであるが、いくら四国が本場いとはいえ、野宿地で喰う飯にカツオのタタキをセレクトするのはヘンラー多しといえどもベンジャミンぐらいだろう。彼はうれしそうにいった。<br />
「うまそうでしょ？　カツオ大好きなんだよ」<br />
　しかしこれほどカツオのタタキを楽しみにしていた彼の身に、あのような悲劇が起ころうとは……。<br />
<br />
　園内にあるグラウンドの脇、コンクリートで整地された屋根のあるエリアにザックを降ろし、テントを設営する。植込みの奥からは猫たちの鳴き声が聞こえる。ベンチには地元の中学生だろうか、少年がひとりたたずんでタバコを吸いながらケータイをいじっていた。ベンジャミンはテントを使用しないため、レジャーシートを敷いた上に銀マットを置くだけで準備完了しており、オレの作業が終わるのを待ちながら少年に話しかけている。さすが学校の先生。と思いきや、無視されていた。<br />
<br />
　野宿の準備が整ったら、次は衣類と身体を洗いにいく。100mほど離れた場所にあった公衆トイレとグラウンドの片隅に設置されていた水道で、各々今日1日着て汗びっしょりになったTシャツと下着を洗い、ついでに裸になって石鹸で全身を洗い流した。冷たい水道水だが、これだけでも十分すっきりする。<br />
<br />
　テントにもどると、さっきの少年はもういなかった。屋根を支える柱や植込みの木などを利用して洗濯物を干す。いまの季節なら、こうしておけば翌朝には乾いているはずだ。すでに陽は落ちて暗くなりはじめている。さて、飯にしようか。オレはテントの中からさっき買ったおにぎりを取り出し、モグモグと喰いはじめた。<br />
「明日だけどさー」<br />
　テントの奥からさらに地図を引っ張り出して、ヘッドライトの光をあてながらベンジャミンのほうを向くと、眉をハの字にしたとても悲しそうな彼の顔が見えた。そしてつぶやくのだった。<br />
「ない……」<br />
「ないって？」<br />
「カツオ」<br />
「あるだろ？　ちゃんと探してみ」<br />
「買ってきたまま袋の中に入れて、確かにここにこうやって置いておいたんだ」<br />
　不可解なことに、袋の中からカツオだけが発泡トレイごと消滅していた。どこを探しても本当にない。彼の落胆ぶりといったら、言葉ではいいつくせないほどである。喰うの、すっげぇ楽しみにしてたもんなぁ。だが考えてみたら、実際には不可解でもなんでもなかったりする。何匹か複数の猫の鳴き声をベンジャミンも聞いているではずである。<br />
「ベンジャミン、そこに置きっぱなしだったから、さっき鳴いてた猫たちにもってかれたんだよ」<br />
　黙ってなにか考えているベンジャミン。<br />
「いや。思うに、さっきの不良少年に盗られたんだよ。それしか考えられない」<br />
　なわけねーだろ!!　かわいそうだが、オレはもう苦笑するしかなかった。<br />
「猫の仕業だってば！　ケータイもってる日本のモダンな不良少年が、タタキとか刺身とか興味ないって。ほかにもっといいものあるんだから」<br />
　ザックやテントをちょっと開ければ、アーミーナイフやらアウトドアストーブやらマグライトやら、簡単にもちだせる。<br />
「うーん、猫ちゃんかなぁ」<br />
　ベンジャミンの解せない表情が解せなかった。<br />
<br />
　翌日は朝から空一面を鉛色の雲がおおい、どうにも気乗りしない一日だった。カツオという楽しみを奪われたベンジャミンにとってはなおさらだったろう。公園から28kmほど先にある65番に着いたのは昼過ぎ。午前中すべてを使って一気に移動したので少し長めの休憩をとることにした。正確なところはわからないが、徳島からここまで800kmは歩いたろうか。<br />
　疲れていた。<br />
　松山自動車道沿いの道中は景色も退屈で、自然とテンションが下がってしまう。ひとりで歩いていたら、どこか適当な場所で切り上げて野宿していたかもしれない。しかし県境までがんばればヘンロ小屋に泊まれることを知っていたオレたちは、言葉少なだったが、なんとか予定どおり40kmを歩き、愛媛に別れを告げることができた。<br />
<br />
　ヘンロ小屋は地元の有志などがつくった歩きヘンロのための無料簡易休憩所。多くは無人で、自由に使用することができる。ここは一見、ひなびたバス停の待合所なのだが、コンテナハウスのようになっており、出入り口のドアを閉じて完全に風雨をしのぐことができる。網戸を装備した窓付きの室内には絨毯も敷かれ、すこぶる清潔だ。地元のひとが掃除しているのだろう。当然、靴を脱いで上がることになる。昼間はバス待ちのひとが利用しているのだろうが、あきらかに歩きヘンロのためのそれだった。ここまで快適だとは思っていなかったので、素直にうれしい。明日は朝から標高差600mの峠を越えなければならないので、ゆっくり休もう。ベンジャミンがよこしてくれたウイスキーのポケット瓶をひと口ゴクリと飲み込む。ワイルドにカッコつけてみたのはいいが、直後にのどが焼け、咳込んでしまう涙目のオレだった。<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=447" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=444</comments>
 <pubDate>Sat, 11 Jun 2011 04:44:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 16-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=443</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110611-moon_crescent_astronomy_1075434_l.jpg&amp;width=500&amp;height=375&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=500,height=375');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110611-moon_crescent_astronomy_1075434_l.jpg"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
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<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
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__________________<br />
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verse 16<br />
<br />
　歩き疲れた旅人が野宿しようとした先が温泉旅館の目の前で、そこのご主人が「どうぞ泊まっていってください」と無料で部屋を提供してくれるなんて、まるでどこかの昔話か『西遊記』の1エピソードである。ホリぃ、お前ももう少しだったのになぁ。4人ほどが楽に横になれそうな広い和室に案内されたオレたちは、仲居のオバチャンが部屋から出ていくやいなやその場にうつぶせに倒れこみ、ひんやりした畳の感触を全身で楽しんだ。鼻先をすりつけて、そのにおいを思い切り吸い込みまくることも忘れない。<br />
「ああああああああ、たまらんっ。やっぱ畳は最高だよな。ほら、ベンジャミンもスニッフしなよ。ホワイトラインはないけどよ」<br />
　<br />
　しばし身体を休めたあとは待望の温泉である。入浴中だった先客はオレたちと入れちがいに上がっていったから、浴場は貸し切り状態。見るからにありがたそうな乳白色の湯に身を沈め、身体中の筋肉を弛緩させた。液体と固体との境界線があいまいになっていく。脳は格納容器内でメルトダウン中だ。まったくここが天国じゃなければ、いったいぜんたいどこに天国があるっつんだ。<br />
<br />
「……リサンはいま……てるかな」<br />
　え？　湯煙の向こうから聞こえるベンジャミンの声でふと我にかえった。<br />
「ホリサンは、いまごろどのへんを歩いてるかな？」<br />
　ああ、ホリか。そうそう、ホリだよ。まだ言ってなかったか。<br />
「もう旅を終えて、たぶんいまごろは東京へ戻ってると思う。あいつ、全部まわり終えることができなかったんだよ」<br />
　仙遊寺で読んだ落書き帳のことを教えてやると、ベンジャミンもすごく残念そうにため息をついた。<br />
「本当にぃ？　あぁ～、もうちょっとだったのに。またどこかで会ってホリサンがたくさんもってるオセッタイストーリーを聞きたかったよ。連絡先は交換した？」<br />
　ホリのアドレスは聞いていなかった。縁があったら、そのうち会うこともあるだろう。たまたま入った中華料理屋でヤツが中華鍋を振ってたいら、最高に笑うけどな。ホリのつくる料理ならズルも誤魔化しもなく、絶対うまいに決まってる。<br />
<br />
　入浴後、部屋にもどると、座卓の上におのおの用意した飯を広げた。ベンジャミンは食後のデザートとしてフルーツゼリーまでしっかりそろえている。いつどこで買いこんだのかウイスキーのポケット瓶も用意されていて、ちょっとしたパーティー状態である。だがアルコールを摂取するまでもなくオレたちはあっけなく夢の中へと誘われ、次に気づいたときにはもう翌朝になっていた。さっそく出発の準備にとりかからなくてはならない。<br />
<br />
　60番をまわったあとはどのみち再び同じ道を引き返してここを通るのだからと、宿のほうでザックを預かってくれた。至れり尽くせりとは、まさにこのことだ。おかげでまったく疲れることなく60番まで往復17kmの道のりを楽しむことができた。唯一悔やまれるのは、昨日、仲居のオバチャンに部屋を案内されたとき「お食事は？」の問いに、「あ、それは用意してあります」とうっかりこたえてしまったことぐらいか。うーん、よく考えてみたら、ウマい飯もタダで食えたかもしれんなぁ。<br />
<br />
　山を降りてすぐのところにある64番を過ぎると、次の65番までは45kmほど歩かなくてはならない。地図によるとルート上を17kmほど東へ移動したところに大きな公園があるようだ。オレたちはとりあえずそこを次のキャンプ地に定め、歩きはじめた。香川県にだいぶ近づいているためだろうか、ベンジャミンがやたらと讃岐うどんの話題にふれたがる。彼にとっては讃岐うどんを喰うのもヘンロの楽しみのひとつだったようで、どこかウマそうな店があったらぜひ立ち寄ろうというのだが、そんなときに限ってなかなか見つからない。ベンジャミンの顔が、ちょっと不機嫌になっている。が、突然、目を輝かせ、叫ぶのだった。<br />
「キンぢ、あそこだ。あの店だ！」<br />
　国道沿いに忽然とあらわれた一軒の和風の店。たしかに「讃岐うどん」の看板が出されている。小ぶりな店のつくりからして、いかにもウマそうじゃないか。昼をだいぶまわっており、オレもいい加減、腹が減ってきている。あいてますように！　<br />
　すると――暖簾ははずされ、「支度中」の文字が。マジかよ～。この時間帯じゃ仕方あるまい。しかし店内をのぞいてみると、オヤジが仕込みをしている様子が見えるではないか。オレはほとんど無意識に店のガラス戸をドンドン叩いていた。オヤジがふりむく。<br />
「すんませーん、うどん、喰えませんかー？　もう超腹減っちゃってー」<br />
「朝、ゆでた分でよかったら、どうぞ」<br />
　というわけで、半ば無理やり準備中の店を開けさせ、オレたちは讃岐うどんにようやくありつけたわけだ。箸を器用に使いながらズルズルうどんを吸い込むベンジャミンは、すっかり感動顔になっていた。アメリカ人にしてはグルメなヤツだと思ったが、店を出てしばらく歩いた国道沿いに設置された自販機で食後のデザートにアイスキャンディーを購入する姿は、やはりケミカルな現代アメリカ人そのもののようにも見えた。そんな気持ち悪いもの、日本では10歳児までしか喰わないぞと教えてやったものの、彼がウマそうにペロペロなめるのをやめなかったのはいうまでもない。<br />
<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=444" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=443</comments>
 <pubDate>Sat, 11 Jun 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 15-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=442</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110528-LaSuperba_parkercarboni_c800.jpg&amp;width=800&amp;height=600&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=800,height=600');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110528-LaSuperba_parkercarboni_c800.jpg"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
<br />
<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
<br />
<br />
<br />
真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
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__________________<br />
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verse 15<br />
<br />
　59番札所のベンチに置いたザックを背負いなおしながら、ふと納経所のほうへ目をやると、背の高い外国人が朱印を押してもらっている姿が見えた。松山へ向かう国道沿いの東屋で一緒に野宿したアメリカ人、ベンジャミンである。<br />
<br />
「やあベンジャミン、再会したね。ベンジャミンもスタンプ、コレクトしてんだ？」<br />
「別にいいだろ。スーベニールだよ」<br />
<br />
　ちょうどツアー遍路を乗せた大型バスが入ってきたところだ。境内がひとで埋めつくされる前にオレたちは札所をあとにし、ともに歩きはじめた。59番の次は順番的には標高800ｍほどの山の上にある60番横峰寺へ行くのが通常だが、納経所の情報によると、そこへ向かう山道がどうやら先日の台風による土砂崩れでところどころ崩壊してしまっているらしい。あれから3日ほど晴天が続いているので水も引いているだろうし、なんとか通れないこともないかもしれないが、詳細に関しては地元のひともよくわかってない様子なので、オレたちは先に61番、62番、63番をまわってから別ルートで横峰寺を目指すことにした。このルートではアスファルトで固められた車道をひたすら登って行くことになるため、道が消滅してしまっているようなことはないだろうが、足への負担は大きくなる。<br />
<br />
「ところで、あの台風のときは、ベンジャミン、どこで過ごした？」<br />
「公衆トイレの広い方の個室あるでしょ。あそこの床に直接銀マットを敷いて寝たよ。快適とはいかないけど、それほど悪くはなかったね」<br />
　公衆トイレに必ず併設されている多目的トイレのことだ。多目的トイレは通常のトイレでは用を足しづらいひとや小さな子供を一緒に連れて入ったりできるワンルーム型の広い個室になっている。赤ん坊のオムツを交換できる台があったり、気が利いたところでは頭を洗える程度のシャワーがついているところもある。しかも便器はたいていウォシュレット。くわえて室内は清潔に保たれているので、においも気にならなかったりする。だもんでオレもよく利用する。<br />
「あれってトイレ付きワンルームだよな、どっちかっていうと。しかしタフなことしてたんだねー。オレはユースホステルにビバーク。2泊もしちゃったよ」<br />
「それ正解。実はトイレの床まで雨が少し流れ込んできてて、ちょっと危なかったんだ」<br />
<br />
　ふたりで会話しながら歩いていると、疲労が軽減されるのは確かだ。ただし歩くペースがちがう者同士だと、長距離の移動ではいつしか一方が遅れがちになり、相手に合わせなくてはならない局面がやがて必ず訪れるので厄介である。ベンジャミンはオレよりぜんぜん背が高く脚も長いのだが、どういうわけかオレたちはそのようなパターンには一度も陥ることがなかった。歩くペースがほぼ完全に一致しているのだ。<br />
<br />
　ひととひとは互いに気を遣っているうちは絶対に対等の関係にはなれないが、そういう意味ではオレたちははじめからフィフティフィフティだった。そもそも最初の出会いからして、ふたりとも“梨丸ごと喰い”によるゲーリー発症という情けない共通点で意気投合していることもあり、いってみればともに腹痛と闘った戦友。ひょっとしたらこの旅を終えたらもう二度と会うことはないかもしれないが、生涯忘れることのないような友達に、こいつはなるような気がしていた。<br />
<br />
　国道を歩いているオレたちの脇をさっきの大型観光バスが通り過ぎて行く。オソロイの白衣を着たツアー遍路のひとたちを満載していた。しかしなんだかヘンだぞ、雰囲気が。乗客のオッチャン、オバチャンたちが一斉にバスの一方の側にすずなりに集まって、オレたちのほうを見つめている。なんだなんだ？　みんな嬉しそうに手を振っているではないか。誰に？　ん？　オレに？　え？　なんで？　あ～～っっっ！　仙遊寺の宿坊に泊まっていたオッチャン、オバチャンたちじゃん！　ていうか、みんな喜びすぎでしょ、それ。オレはスターか皇室か!?　仕方がないので、軽く手を振りかえしてみた。すると、あ～喜んでる喜んでる、喜んでるよ。隣にいたベンジャミンもわけもわからず手を振りかえしていた。<br />
<br />
　59番から61番までは18km。徒歩で4時間ほどの距離だが、61番へはツアー遍路のひとたちを乗せたバスより、オレたちの方が先に着いてしまった。ツアーバスは途中で休憩やら昼飯やら土産屋なんかに立ち寄っていたのだろう。だとしても結果的にバスより歩きの方が先に目的地に到着しているという事実はオッチャン、オバチャンたちにとって奇跡のような出来事に思えたもようで、61番香園寺で再会したときの彼らのリスペクト感ときたら最早頂点に達しており、オレたちはオセッタイによる小銭わらしべ長者になっていた。ガイジンというさらなるアドバンテージを備えたベンジャミンなどは握手まで求められている。えーと、うちら別に好きで歩いてるだけなんで、信仰心とかこれっぽっちもないし、このとおり全身薄汚れててクサいし、そんなふうに韓流スターみたいに扱われちゃうのもなんだかアレなんですが、うーん、ま、いっか。そうなんですよ、すごいでしょ、オレら。もっともこんなことしてるやつら、そこらへんにいっぱいいるんですけどね。　<br />
<br />
　ここから1.5kmぐらいの間隔で並ぶ62番、63番を打ち終えたら、60番横峰寺へと12kmほど続くつづら折れの長い長い上り坂へと入っていくのだが、その前に麓のスーパーで今夜の自炊用の食材を買い込む。オレは簡単に早ゆでパスタや、調理するのが面倒なときはオニギリなんかで済ましてしまうのが常。しかしベンジャミンは喰う、喰う。それもかなりしっかり。カップ麺にパンにお菓子まで買い込み、50リットルクラスの大容量ザックに押し込むのだ。こりゃ今夜はパーティーだな。<br />
<br />
　すでに午後をだいぶまわっていたため、60番札所への到着は明日の予定にして、今日はとりあえず麓から5kmほど歩いたところにあるダム湖の周辺で野宿することにした。<br />
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　ベンジャミンは日本の高校で英会話の講師をしていたそうだ。これがけっこういい金をもらえるらしい。この旅が終わってしばらくしたらアルゼンチンにわたって、向こうでシティライツみたいな本屋をやりたいという。シティライツというのはビートニクの詩人が1950年代に創業したサンフランシスコにあるビート系の書店。、ビートニク文学の出版なんかもしている。興味のないひとにとってはシティライツの「シ」の字も聞いたことがないだろうが、オレも含めた世界中のビートニクたちに知らぬものはひとりもいない。ビート話に花を咲かせ、ベンジャミンとオレがサル・パラダイス気分に酔いしれはじめたころ、ダム湖を見下ろす風光明媚なロケーションに旅館が見えてきた。建物の前はバスの回転所にも利用されるちょっとした広場になっており、テントを張るにはもってこいだ。<br />
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「おいベンジャミン、ここにしようぜ。ちょっと旅館のマスターに聞いてくるよ」<br />
　オレはさっそくその旅館「京屋」の中へ入っていき、前の広場で野宿させてもらっていいか、許可を得に行った。奥からオバチャンが出てくる。<br />
「そしたらちょっと待ってて。オーナーに聞いてみるから」<br />
　よろしくお願いしまーす。と愛想よくふるまったのはいいが、なんかオーナーがどうとか言ってるし、面倒なことになったら、それこそ面倒だな。しばらくするとオバチャンが戻ってきた。<br />
「今日はお客さん少ないから大丈夫だって。どうぞこちらへ?」<br />
　こちらってどちら？　オバチャンが続ける。<br />
「空き室状況にもよるんだけど、歩きヘンロの方にはオセッタイさせていただいてるんですよ。疲れてるでしょう。温泉でゆっくり休んでいってください。お部屋もおとりしましたから。もちろんお代はいりません。お連れの方もどうぞ」<br />
　な、な、な、な、なんですとぉ?!？　ついに来た来た、来ましたよ。温泉旅館一拍オセッタイの申し出である。鼻血が出そうになるのをなんとかガマンして、オレは一目散にベンジャミンのところへもどり、叫んだ。<br />
「ウィガラスーパーハイクラスオセッタイ！！！！」<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=443" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=442</comments>
 <pubDate>Sat, 28 May 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
</item><item>
 <title>The Text of Modern HENRER -verse 14-</title>
 <link>http://kellyis.net/?itemid=428</link>
<description><![CDATA[<br><a href="xml-rss2.php?imagepopup=2/20110521-image002.jpg&amp;width=410&amp;height=410&amp;imagetext=" onclick="window.open(this.href,'imagepopup','status=no,toolbar=no,scrollbars=no,resizable=yes,width=410,height=410');return false;" class="thumbnail"><a href="http://kellyis.net/media/thumbnail/2_20110521-image002.jpg"></a></a><br />
<br>「ヘンラー通信 extended remix」 <br />
<A Href="http://www.88d.jp/" Target="_blank">あきもとキンぢ</A>作<br />
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<p></p><br />
「ヘンラー通信extended remix」は、2005年8～9月にかけて四国を遍路した際の路上生活旅の記録を、友人知人に向けて一方的に送りつけたケータイメール版オレ専用スパム媒体「ヘンラー通信」を改変したリミックスヴァージョンです。<br />
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真実は路上にある。<br />
路上とは宇宙である。<br />
by　オレ<br />
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__________________<br />
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verse 14<br />
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　仙遊寺の丘を下り、海沿いを走る国道196号に出たら、59番札所はもうすぐそこだ。あくびをしてる間に着いてしまう。境内のベンチにザックを降ろし、簡単に参拝だけ済ます。参拝というのは具体的にいうと、オレの場合は本堂と大師堂での読経チャンティングだ。オレの場合といったのは、ヘンロをするにあたって札所の詣で方に特別な決まりは存在しないからだ。自分のスタイルでやりたいようにやればよい。<br />
<br />
　といっても一応のフォーマットはある。ヘンロでまわる札所はすべて真言密教の寺なので、境内には本堂のほかに大師堂という弘法大師をまつった建物が必ずあるのだが、この両方に対してそれぞれ納経するのが最もベーシックなやり方だ。納経とは読んで字のごとく、経を収めること。年寄には写経したものを納めるひともいるようだが、ほとんどのひとは読経する。読経は般若心経を中心に、いくつかのマントラがセットになった一式を声に出して読み上げていく、すなわちチャントすることで行う。お経なんて辛気臭いものはもちろんオレだってそれまで読んだことはなかったが、やり方は簡単だ。札所に併設されているグッズ販売店で一番安い経本を買い、それを頭から順に読むだけ。漢字部分には、ちゃんとルビもふってある。<br />
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　実際に読経してみると、般若心経は韻が踏みまくられ、完成度の高いライムになっていることにすぐ気づく。つまり読経とはすなわちライミンでもあるのだ。しかし読み方のリズムやBPM、あるいは字切り位置、抑揚のつけ方といったフロウについては経本ではわからないので、札所でほかの誰かが読んでいるのを参考にするしかない。<br />
<br />
　最も参考になるのは、やはりプロ、つまり坊さんの読経だ。オレは徳島で一度だけプロの読経を間近に聴く機会に恵まれた。たまたまその札所へ参拝に来た坊さんのようだったが、40~50歳がらみと思われる坊主のキャリアに裏打ちされたテクニカルな唱法はどこを切り取ってもプロフェッショナルのそれだった。ちょっと喉を絞ったような声で朗々と読み上げる彼の読経はまさしく聴かれることを意識した「観光チャント」と呼ぶに相応しく、サンプリングしてケレン味たっぷりのアンビエント系トラックに乗っけたら、イビザのカフェ・デル・マーあたりでガンガンにヘビープレイされそうだ。<br />
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　修行で歩きヘンロをしているヘンラー坊主の場合、一見してほかの薄汚れたヘンラーと見分けがつかないのであるが、徳島で見たこの坊さんは全身を高そうな坊主クチュールでキメており、ひとに見られることを前提にした自己アピールはファッションにも透けて見えていた。おまけに札所までメルセデスで自慢げに乗り付けていたりしているバブルのりも見逃せない。オンナにモテたいのはわかるが、その打ち出し方はもう古いぜ、坊主。<br />
<br />
　彼のディナーショー型チャントはいまひとつ説得力がなかったものの、なるほどここにブレスを入れて息継ぎすれば、ここまで一気に流せるのか、といったフロウの具体的なテクニックの学習にはなった。<br />
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　一方、リアルに真言密教を信仰する一般信者側のひとたちの読経はスリリングなストリート感たっぷりで、非常にカッコいい。多くは鳴り物をたたきながらのチャンティングで、意外にもリズムはかなり速め。BPM180～190ぐらいのドラムンベースライクなアッパースタイルでチャントされることもしばしばで、目を閉じてサウンドに集中していると最強のダンスミュージックに聴こえてくる。団体による参拝ともなれば、まるで数十人編成によるクワイヤ。そんな場面に出くわしたときには、もう黙ってリスナーに徹するしかない。脳に電極をさしてを直接パルスを送るような読経本来のサイケデリックでトランシーな陶酔感にあふれ、ライヴやレイヴやドラッグを楽しんでいるような幾何学的な高揚を得られる。こうしたブッ飛びを目的に札所を訪れるなんてのもオツだ。<br />
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　そんなわけで読経というと、どうにも抹香臭い印象になりがちだが、オレにいわせれば経をチャントしている数分間は、かなりアシッドなトリップタイム。つまり、このうえなく神聖ってことだ。ほかの誰かのチャンティングでもここまで飛べるんだから、自分でキメた日には、そりゃもう深い深?い変性意識へと飛び立つことができるだろう。<br />
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　こうしてオレ自身も神聖なるハイを獲得するため、札所をめぐるたびに読経の唱法にはひと知れずこだわってみたりした。頭の中で4つ打ちからステッパーズまでさまざまなタイプのブレイクビーツを鳴らしては、自分的にイチバンしっくりくるライミンを見つけだすことを試みてみたり、ただひたすら猛烈な早口で読経してみたり、自分の頭蓋内に最も強力に反響させられる振動を含んだ音程や音量を探してグラングランになってみたり。ときには読んでいるうちに面白くなってきてしまって、笑いを必死にこらえながらなんとか最後までたどりつくなんてこともある。これってエンターテイメントだったんだな。<br />
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　さて、読経後は納め札という短冊状の紙切れに自分の名前や日付などを記入して札所に備え付けのボックスの中に入れる。前にも書いたが、納め札はヘンロ旅の途中で出会ったひとに名刺代わりに渡す用途にも使えるので便利だ。納め札はグッズ屋に一束200枚入り100円程度で販売されている。<br />
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　オレが各札所で続けた参拝スタイルはここまで。ほかにも参拝のとき、線香を立てたり、賽銭を入れたりするひともいるが、オレはやっていない。また札所の一角には納経所というコーナーがあり、朱印という各寺の印章を専用の帳面なんかに押してくれるサービスも展開されているのだけれど、これは要はスタンプラリーだ。朱印をひとつ押してもらうのに300円ほどかかり、全札所のスタンプを集めるには都合2万6000円以上の出費となる。バカバカしいので、これもオレはやらない。ただ参拝の証にはなるので、旅の思い出やお土産がわりに集めているひとは多いようだ。掛け軸にすると高く売れるらしいので、小遣い稼ぎとしてもいいかもしれない。<br />
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<A Href="http://kellyis.net/index.php?itemid=442" Target="_blank">NEXT・・・・・</A>]]></description>
 <category>The Text of Modern HENRER</category>
<comments>http://kellyis.net/?itemid=428</comments>
 <pubDate>Sat, 21 May 2011 03:33:00 +0900</pubDate>
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